第67章 隠し事
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私が気がつく時には、既にことが終わっていることがほとんどで、今更どうこうすることは不可能だと分かっているけれど、動かずにはいられない。
けれど、そうしていると次の悪夢はすぐにやってきて、また取り返しがつかなくなる。
悪循環なのは理解しているし、どれかひとつを諦めたら次の悪夢を追い払うことができるかもしれないことは分かっている。
けれど、”どれかひとつ”は選択肢の全てに可能性があって、私には選ぶことが出来ない。
つまりそれは、選別が必要ということだから。
選択肢に命があるのならば、そんな惨いことはできっこない。
例え、選択肢が命よりも軽い……例えば、お菓子の取り合いに置ける場面のものだとしたら、好みとか気分とか。
そういうので選べばいいのだと思う。
けれど、そうやって選択肢の対象によって行動を変えるのは、果たして正しいのだろうか。
見ず知らずの人間の中から助ける1人を選ぶのか、その中に知り合いが混じった状態で選ぶのか。
そこに自分の欲が入ったら、果たしてそれは────
「…めぐ、み?」
「…はい」
ここは、恵の…?
次第に自覚してくる温かい感覚。
自分の手を見てみたら、それは真っ赤で……血塗れ。
「今、高専に向かってます。もう着きますけど」
私、何してたんだっけ。
頭がぼぉっとする。
まだまだ寝ていたい。
「…恵、ねぇ?…し、ほぉんと…お家、けぇりたぃ…」
「まだ寝てていいっすよ」
ふんと、術式が解けた。
元々、私の意識がはっきりしない時は意図せず術式が発動するようにしていたけれど、解けた。
「ご飯、まだ食べてなぁくて…ごめん…」
「いいから。寝てください」
千春はどこなんだろう…。
私から離れるわけないから近くにいるだろうし、少し探せば分かるのに。
どうしても眠気には勝てなくて。
恵の優しさに漬け込んでもう一度目を閉じた。