第67章 隠し事
そんな慌てる僕たちを除けて、伏黒くんは呪力の膜に拳を当てた。
「どうせ、千夏さんは俺の頼み事聞くんだから、いち早く移動しませんか?」
・ ・ ・
この子、すごい!!!!
なんでこんな強気に出られるんだろう!!
「津美紀の名前出したら1発なの、想像つくでしょ」
『…脅しか?』
「違います。約束を守ってもらうだけ」
『ったく…。ずる賢いところだけ似やがって』
「?」
『忘れろ、こっちの話だ』
嫌嫌そうな千春さんは膜を消して、千夏さんの頭を守りながら立ち上がる。
それは……何故か千夏さんが寝ながら浮いているからで。
2人は当たり前のように接していた。
『伏黒。千夏のこと抱えていけ』
姉妹を繋いでいた手首の紐が伏黒くんへ渡る。
『お前は私を』
「は、はい!」
指を刺されたから、即座に隣へ移動。
「でも、先輩…、リカちゃんいるんじゃ…」
『リカは私に手を出せないからな』
「…だそうなので」
『それに、虎杖…お前に比べたら多少恨まれても乙骨を選ぶ』
「ハハ…そっすか」
…虎杖くんも少し嫌われているようだった。
「んじゃ、高専行こうぜ!」
なるべく振動を与えないように。
「大丈夫ですか?」
『ああ。疲れてるのか、体が重くて。申し訳ない』
「いいんですよ。着いたら起こしますし、寝ててください」
『…本当にごめんな』
千春さんか…。
直接話したことはあまり無いけれど、随分大人びた人だ。
リカちゃんが手も足も出ないのは、この人がそれ故の強さを持っているから。
千春さんがこの体を手に入れたということは、リカちゃんも……なんて。
僕はいつだって場に合わないことを考えてしまう。
『……な、つ』
ふたりが考えていることは、いつだって他人のこと。
それは強さなのだと、自信を持って言える。