第67章 隠し事
虎杖くんの言う通り、ゴリ押しにゴリ押しを重ねて、限りある時間を削りながら進んでいると
「これだ」
少し変わった気配を感じた。
懐かしくてつい笑ってしまうのは、八乙女さんだから。
今はもう殺伐としたビル街の…元はアパレル関係の店だろうか。
その店の一角に身を寄せあって服に包まれている女性ふたりがいた。
「そういえば……隣の人は?」
「千春さん。姉」
「えっ…どゆこと…!?」
僕と虎杖くんが理解に困っているのを無視して、伏黒くんは進む。
「千春さん、起きてるでしょ」
『……何』
うっすらと張られた呪力の膜が僕たちを拒む。
「俺らと来てくれませんか」
『説明が先だろ』
せっかく休んでいたのに、という気持ちがダダ漏れ。
『襲撃なら受けて立つが?』
「そんな無駄なこと、するわけないでしょう」
会話は伏黒くんとしているのに、その鋭い眼は僕に向けられている。
(うわぁ…やっぱり怒ってるよなぁ…)
数時間前に会った時に、きちんと否定しておけば…。
でも、あの時は虎杖くんを殺すって言わないとダメだったし…!
「天元様のところに行くんです。九十九さんもいます」
『九十九?日本にいるのか?』
「はい。千夏さんを連れて来いって言われました」
僕はなるべく千春さんを刺激しないように、虎杖くんの後ろに隠れる。
「どーしたんすか?」
「いや、このままで…」
まともに話したことは無いけれど、すごく怖そうな人...。
こんなこと言ったら、もっと怒られそうだけど。
『メリットは?私達は五条のところに行くつもりだが』
「アレは羂索の手に渡ってます。そして今、その羂索が死滅回遊っていうものを開催して、そこに俺の姉が巻き込まれてる」
『…は?それだけか?』
「はい」
千春さんの顔が、暗く…どんどん暗くなっていく…。
「え、えっとですね!とりあえず、五条先生を助けるには…カクカクシカジカ」
「そうそう!天元様っつーのに会えば…カクカクシカジカ」
もう!
伏黒くんは何をやってるんだ!!
千夏さん(厳密には千春さんだけど、顔似てるし!)を怒らせたらまずいんだって!!!