第67章 隠し事
そういうわけで、僕たち4人は高専を目指しつつ八乙女さんを探すことになった。
「言っとくけど、釘崎のことは...」
「ああ、言わねぇ」
釘崎…。
釘崎…。
「釘崎、野薔薇?」
「先輩、知ってんの?」
「名前だけ。八乙女さんが大好きな子でしょ?」
だからそんな会話をしているのか。
「でも、いつ言うつもり?」
「言いません」
「…そっか」
これは優しさなのだろうか。
”あ、さっきはごめんね。ちょっと立て込んでて...”
”いえ、もう大丈夫なんですか?”
電話をして、すぐに切られて、それからしばらくした後の折り返し。
”うん。なんの用だったの?”
”今日、五条先生がこっちに来て…。別れたっ、て聞いたから…大丈夫か心配で…って、ごめんなさい!本当に余計なお世話だって分かってるんですけど…”
2人には本当にお世話なったから。
どうか、どうか…幸せになって欲しかった。
”悟が?今もいるの?”
”いえ、今はいませんが…”
”わざわざ何で……って、ごめん。えっと〜……うん。別れました”
”…”
”あ。嫌いになったとか、喧嘩したとかじゃないから。まぁ、でっかい喧嘩はしたけど”
”……はい”
”でも、まさか憂太が連絡くれるとは思わなかった!めっちゃ久しぶりじゃない〜?最近何してんの?”
元々深くまで聞くつもりはなかったからいいのだけれど、震えた声と詰まった鼻声が話を続けようとしてくれているのがとても辛くて。
後の世間話は上手く話せた自信が無い。
「てか伏黒〜。八乙女さんの場所の目処あるの?」
「ああ。千春さんの考え方で辿れば、多分いるはず」
久しぶりに日本に帰ってきて早く皆に会いたい。
それと同じくらい、八乙女さんにも会いたかった。
「こんな時間だから、千夏さんの睡眠を第1に考えるはず。つまり、安全で奇襲の可能性が低い場所…」
「うーん。ビルの上とか?」
「それもあり。そういうところを潰していく」
「思ったよりもゴリ押し…!」