第66章 親愛なる生徒へ
『千夏』
「いや!」
『…千夏?』
「…」
『…おい』
感覚が生きていたら、どんな感じなのだろうか。
痛かったのだろうか。
『千夏』
「……※▽○」
『千夏!』
……ああ、ダメだ。
千夏。
それだけはダメだと言っただろう。
術師の基本だ。
「…ぁぁ、ぃぃょ」
お前だけは、感情に任せて動いたらダメだって、何度も言っただろ?
『ちな「そっちがその気なら……やってやんよ」
その刹那、千春の声を聞き入れることなく動いた証である、パチッという独特な音が木霊した。
そして、次の瞬間耳を塞ぎたくなるような粉砕音がした。
「……年寄りは労らんか」
「関係ないでしょ。この人殺しが」
『千夏!』
しゅん、と音が止んでいくのがすぐに分かる。
「なんで止めるの!」
『気持ちはよく分かる。私がやるから。こんな奴で手を汚すな』
こんな時でも命の大切さを説くような人間でいて欲しいと願うのは、俺のエゴだ。
分かってる。
でも、願わずにはいられない。
”なんで祓わないんだ!死ぬかもしれないんだぞ?”
”……自分が死ぬから相手を殺すの?”
随分前に忘れた綺麗事。
まだ綺麗だと思える心があったことに感謝した。
「一体誰やら…」
『誰でもいいだろ?一つ質問だ。お前らは千夏や五条悟、この…夜蛾正道らを失って、どうやってこの状況を打破するつもり?』
「さぁな」
『上に従っても死ぬだけだと思うけど』
「それも分からん。こうなっては誰にも未来は読めんからのぉ…」
『…読めないと言って思考を放棄するか。まぁいい』
ガラガラ。
『5秒待ってやる。5…4…』
「…」
『3………その程度か。がっかりだ』
シャッ────
『やめとけ、時間の無駄だ』
「でも…!」
カタッ
『最後のお別れの方が大事だろ?』
トットットッ…
カサッ
『…千夏を大切にしてくれて感謝する』
ガッ
「なんで!まだ先生は!」
『現実を見ろ』
タッ…カサッ
────頑張れよ、千夏