第66章 親愛なる生徒へ
*****
元旦はゆっくり休んで、ぼちぼち仕事をこなして、また授業が始まる。
そろそろ生徒たちは任務に慣れた頃だろうから、座学の方をしっかりやっていかないと。
なんて考えていたけれど。
「…む?」
始業の日になっても教室はがら空きだった。
あの4人はサボり癖が酷いけれど、誰もいないということは今まで無かった。
とりあえず校内を見回ってみたが、どこからも大きな爆発音や笑い声は聞こえてこない。
試しに硝子に電話をかけてみたが繋がらない。
傑、千夏、悟にかけても繋がらない。
始業の日程を伝え忘れたかと思ったけれど────
「おっはー」
振り返ると、両手に大きな風呂敷に包まれた荷物を持って歩いてくる悟の姿が。
良かった…。
またよからぬことを企んでいるのかと思って冷や汗が流れるところだった。
「遅い。遅刻だぞ」
「いーのいーの、授業出る気無かったから」
それは如何なものか。
こんな奴が、4人の中で唯一始業日を覚えていた生徒だなんて…。
「3人は?」
「お前も知らないのか?」
「え、いないの?」
悟はだるそうにどこかへ電話をかけ
「おー、どこいんの?……はい?マジ?……ふむふむ……おっけ、待ってろ」
それからすぐに「迎えに行く」と言って飛び出した。
「あ、これあげる」
俺にでっかい風呂敷を押し付けた一秒後
「おい、どこに…!」
慌てて追いかけたけれど、なんと足の速いこと……追いつくことはなく、背中が消えていた。
(…そもそも、千夏は外出禁止だろ)
あいつが律儀に申請しているとは思えないが、事務所に問い合わせてみると、やっぱり届出はなくて。
となると、寮にいるということになるが、寮母に協力してもらうと千夏が部屋に居ないことが分かり…。
(全くあいつらは…)
電話しても出ないだろうし。
いつか帰ってくると思っていたけれど……その”いつか”は待って来るものではなかった。
ちなみに、押し付けられた風呂敷の中には5段の重箱が。
中を開けると、今まで見た事もないような豪華なおせち料理。
思わず感動が洩れてしまうほどで、あいつの坊っちゃんぶりを思い知った。