第66章 親愛なる生徒へ
《明日は何すんの?》
「明日はメイクの練習しようかなーって。ほら。五条帰ってきて「可愛いねー」なんて…」
あれ。
自分で言って虚しくなってきた。
「言わなそうな気がしてきた…」
《ひねくれてるもんなぁ。普通に「へぇ」で終わりそう》
この間、歌姫からお下がりのアイシャドウを貰った。
意外といい人なのかもしれない、と思ったけれど、その後に硝子と出かけてしまったからまだ敵だと思っている。
《千夏、普通に可愛いのにねー》
「…え、何?何企んでるの?」
《素直に受け取れ、バカ》
「バカって言ったな!」
あー。
早く帰ってこないかな。
世の中的に見たら、たったの数日間離れるだけだけれど、寮生活をしていて、朝と夜は必ず近くの部屋にいるという安心感に近いものが無くなった時の寂しさは尋常ではない。
まだ1年も経っていないのに、千春とふたりで、どのように過ごしていたのか思い出せない。
私の数年間は密度がなかったから、この数ヶ月に簡単に圧縮されてしまう。