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【呪術廻戦】infinity

第9章 陳腐な七色、儚い紅




「じゃあ何で…!」



五条の声に驚いた生き物が、一斉に鳴くのを止める。

私も例外ではなかった。



「どうして…」



五条があまりにも苦しそうに声を出すから。

あまりにも切ない声を出すから。

息を吸うことすら忘れてしまう。



「俺を頼らないんだよ!」



きっと、これは心の叫びなんだろう。

そうでなければ、こんなにも心を動かされないはずだ。

心は、心でしか動かせないのだから。



「…わざとだよ」

「どうして」

「五条がそう言うと分かってても、頼らなかった」

「だから、どうして…!」



いつの間にか涙は止まっていて、頭の中はスッキリしていた。



「もう、十分助けられた。本当に沢山、助けてもらった」

「そんなことない」

「そんなことあるよ。だって私、生きてるんだよ?」

「そんなの、当たり前であるべきだろ…」

「生きてる上に、毎日楽しんでる。まぁ、今はキツイけど、皆と過ごすためだから全然平気」



あの時も、この時も、その時も、どんな時も。

限りある時間を楽しく過ごせたのは、全部五条のおかげ。



「これ以上五条を頼ったら、神様に怒られちゃう」



五条は優しい。

でも、その優しさは私をダメにする。



「私なんかのために五条の力を使うなんて、贅沢すぎるからね」

「私、なんか…?」



五条が私の肩を掴んだ。

ポン、ポンと、左右で時間差をつけて。



「私なんか、って何だよ…」



そして、五条は再び大きな声を上げた。

怒声に近く、悲痛の声をあげるように。



















「お前の命より大事なものなんてない!!!」




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