第65章 家系
「はぁ?傑も出ないんだけどー」
どんなに冷めているように見えても、感情は消えないんだよ。
ちゃんと、私は────
「例の彼氏、どこいるか分かる?」
「…」
「硝子〜」
「え、なに?」
「お前の彼氏、どこいんの?多分、千夏もそこだろ」
この時間だと…バイトだろうか。
あいつのバイト先のこと、歌姫先輩に話した気がするし。
「んー。今から行くと中々微妙だな。夏ペアが揃ってれば別にいいんだけどさー…」
終電のことは気にせず、とにかくバイト先のカラオケ屋に向かう。
高専からはかなり離れている。
上りの電車だからか比較的空いていたため、混雑によるストレスはない。
そんなとき、夏油から五条へ、折り返しの電話がかかってきた。
丁度よく駅に着いたので、一旦電車を降りる。
「今どこー?」
『…どこの駅にいるんだ?なんも聞こえない』
1度ホームを出て改札前に向かう。
「おーい」
『OK。さっきの電話は千夏に関するやつ?』
「そー。一緒にいんの?」
『いや。今は1人だよ』
今は。
ということは、さっきまで一緒にいたのか。
「千夏は?てか、あんたらどこにいんの」
『硝子か?』
「そう」
『それが色々ややこしい事になって』
「要するに?」
『とりあえず、今の状況としては……警察にお世話になってるって感じかな』
「「はい?」」
この状況は普通にマズイ状況なのだが、殺人やら強盗やら、そういう類でないことは明らか。
けれど、学校敷地外で千夏が暴れているところを想像できない。
「何した?」
『店員殴ってボコボコにしちゃったって』
「…ふーん。男?」
「男の店員」
「ボコボコってどのくらい?」
『見たところ、目が腫れて唇が切れてたくらい』
その程度なら、と思ってしまった私達は、一旦口先だけでも相手の心配をして。
「うん、まぁ、痛そうだなぁ」
「可哀想に」
『お前らなぁ……あ、悪い。俺も呼ばれたから行かないと。切るぞ』
「あー、待って待って。どこの店?俺らも行く」
『品川のカラオケ屋。駅前の……分かる?』
五条が私に委ねる。
「分かる」
『じゃあ後で。悟、安心しろ。千夏は無傷だ』
「別に心配してねーよ」
『そうか?』