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【呪術廻戦】infinity

第65章 家系




大将の大きな声で迎え入れられ暖簾をくぐると、目の前のカウンターに並ぶ男女の姿。


「え、硝子じゃん」


出かける前に夏油が探していた人物。
となれば、その横にいる女に心当たりがある。
帰ろうか、と思ったけれどここで引き返したら感じが悪い。


「夜食?」
「…まあ」


赤くなった頬を隠すこともせず、千夏の隣に腰かけた。


「…!」


千夏の奥でジェスチャーをする五条。
指し示された通り、これに触れない方がいいのだろうけれど、この顔は…笑ってしまいそうになる。
パンパンに腫れた瞼に、これでもかと膨らんだ頬。
どれだけ麺を口に含んでんだ、馬鹿。


適当に注文を済ませて、千夏の顔をのぞき込む。


「どーした?」


五条は無視して、目を合わせる。
すると、ちらっとこっちを見て首を振った。


「泣くの、珍しいじゃん」
「……泣いてないし」
「…はいはい、そーだね」


私も泣けたら良かったのに。
奥でスープをつぐ大将を見ながら、当たり前の感情が無くなっていたことに自嘲した。


「……そのほっぺた、どうしたの?」


パンパンの口の僅かな隙間でそんなことを聞いてきた。


「あー、殴られた」
「…誰に」
「誰でもいいじゃん。内緒」


そう言うと、千夏は咀嚼を初めて口の中をカラにしようと努めた。


「うっ…」


当たり前のように喉を詰まらせて、分かっていたかのように五条が水を差し出す。
…多分、羨ましかったのだと思う。
きっと私はこんな関係を築けない。


「おっとー?」


水の勢いでスープも飲み干した千夏は、1000円札を置いて店を出た。
追いかけないの、と聞くと居なくなった座席を見て「面倒」と一言。


「あれは何する気?」
「さぁ。千夏の頭の中はいつだってぐちゃぐちゃだから」


千夏が泣いていた理由、聞いてもいいのかな。


「おまちー!ネギ塩ラーメンネギマシマシね!」
「…ありがとうございまーす」


自分の分は既に完食している五条は何故かまだ残っていて。
私が食べ終わるのを待ってから、一緒に帰った。




歌姫先輩から電話がかかってきたのは、そんな時だった。



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