第2章 誠凛高校
『ふぁ……んん、』
退屈な入学式もそろそろ終盤、残すは新入生代表の挨拶だけだ
「新入生代表挨拶、新入生代表紺月!」
まぁ、僕がその代表なんだけどね
『はいっ』
あーあ、折角なら女子制服に着替えとけば良かったなぁ…そう考えながら壇上に上がる
『穏やかな春の日差しに包まれ、桜が満開を迎える季節となりました。僕達新入生一同は………』
すらすらと暗記した文章を読み上げていく。時に期待に満ち溢れるように、時に冷静に。聞いている人を退屈にさせないように
『………以上を挨拶とし、締めとさせていただきます。新入生代表、紺月』
その一言で挨拶を締め、壇上から降りる。一瞬の静寂の後、会場は盛大な拍手に包まれた
『ふぅ……』
そうして入学式は、特に問題もなく終了した
ーーー教室
「ねぇねぇ、くん!今度の映画さ!」
「この前の雑誌見たよ~、ちょー可愛かった!」
「黄瀬くんとのツーショットめっちゃ良かった!」
『うん、ありがとぉ』
たくさんの女の子に囲まれてる…皆可愛いなぁ
「黄瀬くんとはさ、どのくらい仲良いの?」
「あっ、それ私も気になってた~!」
「前、一緒に出掛けてたの雑誌に載ってたよね」
「確かお泊まりし合う仲だって聞いたよ」
『ん、涼太?えっとねぇ…一緒に出掛けるし、お泊まりもするよ。後は…服も貸してもらったり』
そこまで言うと、彼女達はキャーッ!と色めき立った
「えっ、尊っ…めっちゃ尊いんですけど」
「かわいい~!絶対服ブカブカじゃん!」
「えぇ~写真とか見たぁ~い!」
『写真…?ん~、今度涼太と泊まったときにお願いしてみるねぇ』
そう言い、ニコニコと笑顔を振り撒く。宣伝とか好感度も意識しないとなんて…本当面倒だよね
「インスタ上げて欲し~い!」
「えっ、絶対見るんだけど!てか、インスタっていったらさ!」
「あ、あの新作でしょ?ネイビー&Navyの!」
「あの香水とリップ可愛かった!」
『えへへ、そう言って貰えて嬉しいなぁ』
そう、ネイビー&Navyは僕が設立したブランド。多くの人に浸透していてとっても嬉しい