第1章 轟君
朝起きれば目の前に、すやすやと心地良さそうに眠る焦凍がいて…
その綺麗な寝顔にかかる赤と白の髪の毛をよける。
キス、しちゃおうかな?
おはようのキス!
なんて思いながら、顔を近づければ、ゆっくりと開く彼の瞳。
「ん?あぁ、おはようゆき」
『お、おおおおはよう!
あ、朝ごはん作ってくる!まだ寝てていいよ!』
そう慌てて布団を飛び出ながらも、一瞬、彼の方を向けば、頭の上に?マークを浮かべていた。
うぅ、私が迷っていたせいでキス出来なかった!
…ん?いや、起きてから堂々とすれば良かったかな?!
なんて思いながらも、朝の準備をし終えて、2人で玄関で靴を履く。
「お邪魔しました。ありがとな、ゆき」
『いいえ!こちらこそ…きゃっ、焦凍…?』
急に抱きしめられて見上げれば、触れるだけの優しいキスが降ってきて、
「さっき、しようとしてただろ」
『ば、バレてたの!?なんでさっき言ってくれなかったの!?』
昨日の色っぽい焦凍から、いつも通りな感じに戻っていて安心する。
そして、そんな幸せな出来事を思い浮かべながら、教室の自分の席に着けば…
あれ、これ、焦凍の筆箱?
さっき一緒に準備してたから間違えちゃったのかな私。