第1章 轟君
焦凍side
動かせないように押さえていたゆきの腕を離して見下ろせば、片手で胸を、もう片方の手で脱がしたショーツがあった場所を隠す彼女。
薄暗いこの部屋に、その格好は反則だ。
中学3年に上がって同じクラスになった彼女とは、席が隣で、まともな友人が居なかった俺にとっては1番よく会話を交わす相手となっていった。
最初は、おはよう、と楽しそうに挨拶してくる程度だったが、授業が終わったのにも関わらず、教科書と睨めっこをしている彼女に勉強を教えたのがきっかけだった。
ぶっきらぼうでお世辞にも優しいとは言えない俺に、楽しそうに話しかけてくる彼女に好意を持つのはごく自然なことだったのだと思う。
『隠すな…見たい』
ぎゅっと閉じていた彼女の目がゆっくりと開く。
大きな瞳は上裸の俺を見て、再び恥ずかしそうに目を逸らすと、
「ずるい…」
『…俺が、か?』
「…どうして、いつも、そんなにカッコ良いの」
『煽っているのか』
胸がきゅっと締め付けられる感覚。
こいつは俺をおかしくさせる天才だと思う。
恥じらいに塗れたその表情で、そのセリフはずるい。ずるいは、こっちのセリフだ。
我慢できずに再び唇を重ねると、舌で彼女の口内を掻き回す。
「ら、め…!ん、んっ…」