第1章 出会い
会議も終わり、「彼女を護衛する」作戦もある程度まとまったので、俺は一息つくために喫煙室へ向かった。
作戦会議は嫌いではないが、各国の諜報機関、警察機関が集まった会議。
どこか腹の探り合いめいたものが起こり、空気としてはあまり良いものではなかった。
その不快感を払うためにも、俺は喫煙室へ急いでいた。
しかし、はやる気持ちを押さえながら喫煙室の扉に手をかけた俺は、後ろからかけられた声と俺の腕を強く掴む手で入室を阻まれてしまった。
「おいおい、これ以上は我慢の限界だぞ」と、不快な気持ちを隠すことなく振り返った俺は、その表情を瞬時に改めることとなる。
そこには、今まで「護衛対象」として思いを巡らせていた川崎ミアが立っていたからだ。
『先程は、ありがとうございます。その、助けてもらって…』
そう告げる彼女は、会議室で見せた力強さやその後、一瞬見せた憂いを帯びた様子とは異なる姿で、下を向き佇んでいた。
心なしか、俺の腕を掴む手が少し震えている。
「なぜ、礼を?」と一瞬、迷った俺は彼女のその姿を見て合点した。
「強気なのも、生き抜く為の術か…やはり守らねば」
と心の中で呟いた俺は、
赤:「気をつけろよ。君は魅きつけるからな」
と彼女に告げ、安心させるように優しく彼女の手を撫でてから、その手を離した。
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