第5章 潜入 ★
シ:「ミアの話から聞こうかな」
ボスとBND専用に日本公安が用意している部屋に2人で入った。私は、盗聴器が仕掛けられていないかを確認しながら、ボスに先ほどの会議資料を見せる。
それは、私の潜入時における個人情報を記載した部分だ。
シ:「これが、どうしたんだね?」
『全て偽装です』
盗聴器が仕掛けられていないことを確認できた私は、口を開く。
シ:「まぁ、そうだろうね」
ボスは何でも無いことのように、答える。
『ただし、この部分だけは本当のように振る舞うことになります』
私は、資料のある部分を指差しながら告げる。
シ:「恋人関係かい?だったら、先ほどの私の言葉は間違っていないじゃないか」
『ボス…振る舞うだけですから』
シ:「振る舞うだけ?」
『はい。どこに組織の目があるかわからないので、プライベートも含めて零さんの恋人として振る舞います。けれど、私は別に好きな人が居るんです』
シ:「赤井くんかな?」
『え?』
シ:「何年、私が君のボスをしていると思っているんだい?ミア」
『やっぱり、ボスには敵わないですね』
シ:「はは。君が最高のPrinzと幸せになるまで、私は見守っているよ」
そう冗談めかして言うボス。私は、ボスの優しさに改めて頭が下がる。そして、その優しさに今回も甘えてしまう自分に気づきながら、私は意を決してボスを見つめ返す。
『それで、ボスにお願いがあって』
シ:「何だい?」
『昨日、赤井さんが言っていた件をボスからもサポートして欲しいんです!』
ボスは私が必死に訴える姿を見て、優しく目を細めた。
シ:「ミア。本当に素敵なPrinzを見つけたね」
『え?』