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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第4章 この道、桜吹雪につき。注意。


●伊月 俊● 〜校庭〜


「でもバスケ部には、お前が必要だ。」


嘘じゃない。
これも、同級生を労う気持ちと変わらず、俺の心からの本音に間違いない。


無鉄砲で、旺盛過ぎるほどの好奇心を持っているせいで、たまに抑えられないほど暴走もするけれど。
それが小金井の良さだって、俺は理解している。
それと、水戸部の冷静さもな?


「お前みたいに、“もの応じせず
 真っ向から人と向き合えるようなやつが
 必要”…ってことだ」


要は長所をいかに活かすかだ。
全否定するには、俺のチームメイトは眩し過ぎる。


「“大切なバスケ部の魅力を口にして
 全力で伝えたい!”って言う、
 小金井のその気持ちが大事なんだよ。
 見てりゃそれくらい分かるさ。」


だから、バスケ部において俺に出来ることは。
そんな多様な個性を活かせる“司令塔”になること。


特殊な目を持ってるだけが、伊月 俊じゃない。


「お前の言葉が響く誰かが、きっといるさ。」


こんな時に、気を落としたチームメイトのモチベを上げることも。
間違いなく、俺の役目だと思うから。


落ち込むことがあるんだったら、俺が出来るだけ払拭してやる。
仲間の“強み”を、引き出して活かしてみせる。
どんな時でも。


「だから探し続けよう。新しい仲間を。」

「伊月…」


小金井に視線を合わせながら、諭すように言葉を折っていく。
その時だった。


「新しい…はっ!」


俺に神が舞い降りた。


「”新体制に新入生入隊。異星に侵入せい!”
 キタコレ!やべぇーキタコレ!!」

「せっかくのいい台詞が、後味最悪だぜ」


ちょっと前に、チームメイトのモチベを上げるためだけに口をついた、“新しい”って言葉だけで。
ここまで思考を深めることが出来るなんて!


さすが俺!
どんな状況でも冴え渡ってる!!


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