• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第4章 この道、桜吹雪につき。注意。


●伊月 俊● 〜校庭〜


?「向き不向きを理解しないで、
  真剣に取り組んでいる人たちに
  迷惑をかけたくないんです。」


「自分が入ることで、きっと迷惑をかけてしまう」ともとれる言葉を口にして、自らを卑下した女の子は。
誰にも入る余地を与えないとでも言うように、「それに…」と続けた。


?「自分にはやっぱり無理だった。
  …なんて思い出して、
  後悔したくないので。」


その言葉が意味することは、たった一つ。


?「なので、今回は遠慮させてもらいますね。」


「すみません」と頭を下げる女の子を前に。
小金井も、もう何も言えないようだった。


だから代わりに俺が言おう。


「そうか、わかった。
 足止めして悪かったね。それじゃあ…」

?「はい。失礼します。」


俺が心配する必要はなかった。


小金井ほどじゃないと思うけど、俺も少しだけ思ってしまった。
それは恐らく、“残念”と言う気持ちで。


こんな礼儀正しくてモノをはっきり言える子は、なかなかいないと思う。
歳下であるという事実が、先輩としてほんの少し憎らしいくらいに。


「問題は先送りはしない」とでも言うように、過去10秒前に俺たちに向かって「NO」を示してきたばかりのこの子を。


「チームメイトにしたい」と思うことは。
欲張りと言われてしまうだろうか?


/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp