第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●伊月 俊● 〜校庭〜
?「向き不向きを理解しないで、
真剣に取り組んでいる人たちに
迷惑をかけたくないんです。」
「自分が入ることで、きっと迷惑をかけてしまう」ともとれる言葉を口にして、自らを卑下した女の子は。
誰にも入る余地を与えないとでも言うように、「それに…」と続けた。
?「自分にはやっぱり無理だった。
…なんて思い出して、
後悔したくないので。」
その言葉が意味することは、たった一つ。
?「なので、今回は遠慮させてもらいますね。」
「すみません」と頭を下げる女の子を前に。
小金井も、もう何も言えないようだった。
だから代わりに俺が言おう。
「そうか、わかった。
足止めして悪かったね。それじゃあ…」
?「はい。失礼します。」
俺が心配する必要はなかった。
小金井ほどじゃないと思うけど、俺も少しだけ思ってしまった。
それは恐らく、“残念”と言う気持ちで。
こんな礼儀正しくてモノをはっきり言える子は、なかなかいないと思う。
歳下であるという事実が、先輩としてほんの少し憎らしいくらいに。
「問題は先送りはしない」とでも言うように、過去10秒前に俺たちに向かって「NO」を示してきたばかりのこの子を。
「チームメイトにしたい」と思うことは。
欲張りと言われてしまうだろうか?