第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●伊月 俊● 〜校庭〜
俺と小金井を挟んで、真ん中にいる女の子。
さぞ居心地が悪いであろうそこから、抜け出そうと俺たちの間に斬り込んでくる。
その声につられるように、俺と小金井の視線は、自然と女の子に向いた。
?「お声がけいただいたのに、ごめんなさい。
私たぶん、マネージャーなんて
器用なことできないと思うんです。」
俺と小金井を交互に見ながら、言葉を紡ぐ女の子。
そのゆっくりで丁寧な文字の連なりに、ヒートアップしていた俺たちの内情が落ち着いていく。
?「選手をサポートする立場の人なら。
私じゃなくて、
もっと適任な人がいると思います。」
「いや…でもほら!
サポートって言っても、
そんな大それたものじゃないはずだしさ〜」
?「それでもやっぱり、向いてる人がやるに
越したことはないと思いますよ。
マネージャーは…」
未だ勧誘の手を緩めない小金井の言葉を、正論を持って身軽に躱す女の子。
確かに、マネージャーという役割を「大変じゃない」と言えば、それは嘘になってしまうのだろう。
担う人間を選ぶその役割は、誰もがこなせると言うには、あまりにも多忙過ぎる。