• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第4章 この道、桜吹雪につき。注意。


●小金井 慎二● 〜校庭〜


?「あの…なにか?」


イヤホンを耳から外しながら、オレに話しかける女の子の声で。
オレは現実に戻ってきた。


「あ…あぁ〜!ごめんね!!
 急に話しかけちゃって!ビックリしたよね?」

?「いえ、大丈夫です。」


女の子はそう答えながら、外したイヤホンのコードをスマートに首にかけた。


その時、イヤホンから漏れ出た音楽には聞き覚えがあった。
普段であれば、それを話の種にするくらい考えられたんだと思う。
「その曲いいよね!」とか。
「どんな音楽が好きなの?他になに聴く?」とか。
いくらでも言いようはあった。


だけど今回はそうはいかなかった。


共通の話題で、会話に花を咲かせることよりも。
不意に目の当たりにした、コードを首にかけるという単純な動作に…
たったそれだけの。
それでいて、大人っぽい所作の方に。
オレは完全に気を取られてしまったんだ。


自分で言うのもなんだけど。
勧誘のために声をかけたということを、忘れなかっただけ偉いと思う。


だから、女の子の仕草に再び気を取られるその前に。
オレは自ら話を切り込んだ。


「そうだ!
 キミ、入る部活はもう決めた?」


/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp