第3章 Reset. And...
●藤堂 天● 〜???〜
♪ピピピピッ ♪ピピピピッ
なんだろう。
何かが聞こえる気がする。
それも近く。
ものすごく近くで。
♪ピピピピッ ♪ピピピピッ
…いや、“気がする”んじゃない。
実際“そう”なんだ。
『ん"…ん"ん…』
うるさい…
嫌な音だ。大嫌いな音。
それでいて、馴染み深い音。
♪ピピピピッ ♪ピピピピッ
自分の体重を、背中で支えている気がする。
私はいま、横になっているのだろうか?
♪ピピピピッ ♪ピピピピッ
「鬱陶しいな。なんだよ」と思いながら、
自分の顔に手を伸ばしたら、手の甲に布のような物が擦れる感触があった。
その、暖かくて柔らかい布地を掴んで、頭を沈めると少し音が遠くなった。
それなのに…
♪ピピピピッ ♪ピピピピッ
それでは止まってくれないその音に、解決方法が根本から間違っていることに気付かされた。
あぁ、なんだ。フツーに目覚ましか。
さっきから聞こえてくる不愉快な音は、「起きろ、起きろ」と私を急かす目覚ましの音だった。
そのことに気が付いた私は、「寝てた」「朝」「起床」という断片的な答えを導き出した。
だったらやることは簡単だ。
解を得た私の脳みそは、徐々に無意識から意識にギアを変え始める。
まず、目覚まし時計をなんとかしなくては。