第13章 英雄ぶるのも大概に
●リコ side● 〜体育館〜
「第一、オレがバスケを途中で辞めたやつ相手に
負けるわけがねぇーよ」
「そんなの藤堂さんには関係ない。
あなた負けわよ」
「カントク…流石にビビりすぎだって」
女一人相手に何をそんな逃げ腰になっているのか、と。依然掴んだままの天の細い手首を握りながら、火神はリコを憐れんだ。
しかし、リコに賛同する別の声が現れた。
「火神くん、辞めておいた方がいいと思います」
横から聞こえてきた「おそらく瞬殺されますよ」という言葉で、火神は驚いてそちらを見る。
「おい…テメェいま何て」
振り向いた先には、火神を真っ直ぐに見つめる黒子の姿があった。
「だから、その手はもう離してください」