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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第13章 英雄ぶるのも大概に


●リコ side● 〜体育館〜


天の力に負けない強さで、引き剥がしたその腕を火神も掴み返す。無理やり目線を下げさせられていたのが一転、再び天を見下ろせる様になると、


「証明してみろよ、そのお得意のバスケで。
 お前、強ぇって言いてぇんだろ?
 相手になるとは思ってねぇーけどよ」


火神はそう吐き捨てた。その言葉に、その場にいる誰しもが息を呑んだ。天に対してバスケで証明しろと言ったかと思えば、更には「自分が相手になる」と言い出したのだ。


逃すまいと天の左手首を拘束しながら、その華奢な体格を見て火神は確信していた。
強いプレイヤーに興味があるのは確かだったし、日本一と謳われた実力がどの程度が試したかったが、自分が女子相手に負けるわけがない、と。だからサクッと負かして、自分に喧嘩を売ったことを天に後悔させてやるつもりだった。


しかし、


「火神くん!昨日も説明したでしょ?!」

「あぁ?」


それまで口を噤んでいたにも関わらず、急に横槍を入れてきたリコの声に制止された。


幸か不幸か火神の的外れな発言で、それまで呪縛の様に囚われていた天の迫力からリコは現実に引き戻されていた。そして、天のバスケの実力は“神童”や“麒麟児”に例えられる程で、日本一を期待されたのにはちゃんと理由がある、と火神に再び説明した。


「他のプレイヤーに比べてちょっと強い、とか
 そんなレベルの話じゃないのよ?!」

「はぁ?そう言われてたってだけだろ?」


リコが必死に止めるにも関わらず、火神はやはり聞く耳を持たない。


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