第13章 英雄ぶるのも大概に
●リコ side● 〜体育館〜
『同情されるのは腹立つ程度で済むが、
侮辱されるのは我慢ならねぇ!!』
天のただらなぬ様子についに我慢の限界がきたリコは、止めに入ろうと腕を伸ばす。しかし、それを拒む様に脚は依然動こうとしない。
事態を悪化させまいとして唯一口に出来た「か、火神く…」という声だけが、一人空を彷徨った。
『雑魚だ?ヘタレだ??
んなこと吐かされる筋合いはねぇ!
続けてる奴がそんなに偉いか?
辞めた奴を貶して許されるのか?!』
「へいへい、そうかよ。
つかお前、いつまで人の服引っ張ってんだよ」
火神は自分の胸ぐらを掴む天の腕をガシッ!っと掴み返した。そして、「それじゃあ」と呟きながら天の腕をバッ!!っと引き剥がすと、
「証明してみろよ、そのお得意のバスケで。
お前、強ぇって言いてぇんだろ?」
ニヤッと不敵な笑みを浮かべながら、天に宣戦布告とも取れる言葉をぶつけた。
「相手になるとは思ってねぇーけどよ」
その言葉に、天を含めその場にいた全員が、驚かないわけがなかった。