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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第13章 英雄ぶるのも大概に


●天 side● 〜体育館〜


天がポツリ…ポツリと語り始めた言葉に、部員たちは耳を傾けた。


『私がいつも通りにプレイして、
 いつも通り試合にフルで出ていれば
 勝てていたはず…だったんです』


これは事実だ。嘘一つない。天たちのチームは、日本一になれるはずだった。


『…でも、よりによって決勝の場で、
 個人プレイに走った挙句自爆で退場になり、
 チームのバランスを崩しました』


途中退場の真相も語られた。なぜそうなったかまで天は口にしなかったが、退場になる原因は大方予想が出来る。


『その時の私は、勝つことよりも大事な
 もっと大切な何かを失ってしまったんです。
 その結果、負けてしまったんです』


そこにいる誰も、何も口に出来なかった。天の持つ暗い過去は想像の遥か上を行き、今日ここで会ったばかりのバスケ部が救ってやれる話ではなかった。


『結局一度も優勝できないまま、
 大会後に私たち三年は引退しました。
 やっと全員で決勝に出場できたのに…』


天は黒子に合わせる顔がなかった。
結果的にこうして過去を打ち明ける羽目になり、自分のドス黒い罪を知られることとなった。“キセキの世代”と同様、自身のプレイで人を傷つけたことを知られたら…


嫌われるだろうか?


『絶交した時、仲間に言われました。
 私は変わってしまった、って』


言いたいことは、これで全て語った。それがここにいる全員に正しく伝わったかどうかは、天は知る由もない。
それに至った経緯は関係なく、天には他の人間を傷つけた過去がある。少なくとも、それさえ伝われば十分だった。


しかしこの時黒子は、天の言葉に違和感を感じた。天の「絶交“した”」という言葉に。その言い方では、まるで…


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