第13章 英雄ぶるのも大概に

●天 side●　〜体育館〜


自分の言葉足らずで、天に勘違いをさせてしまったことにリコはようやく気がついた。だから、「あ…選手として（そういうこと）じゃなくてね？」と訂正して、改めて正しい順番で語り始めようとした。


しかしすぐに、別の声で掻き消されてしまった。


「ポテチちゃん！“MG”だよ、“MG”！！」

『はい？？』


その瞬間、天の視線が目の前のリコから外れる。
リコが説明しようとするのを差し置いて、体育館に響いたその声は小金井のものだった。


『え…えむじー？？』


最初、天は何のことか分からなかった。「バスケ部に入ってほしい」と告げられただでさえ戸惑っていた最中、今度は“MG”という言葉が天を翻弄しに掛かる。日常生活でも、バスケ用語でも聞いたことのない言葉の出現に、天はまたしてもそこに都会の流行を感じざるおえなかった。
しかし、


「オレたちバスケ部の、
　マネージャーになって欲しいってこと！！」


その言葉で全てが明るみになった。知らないと思っていた言葉も、流行語を思わせる異質っぷりも。もう何年も前から、天のそばで確かに存在していた。


『マネージャーて…』