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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第13章 英雄ぶるのも大概に


●天 side● 〜体育館〜


天はため息混じりに、ゆっくりと喋り出した。


『長居した上でこんなこと言うのは、
 私も心が痛いんスよ?いやホント』


そう言うと天は、困ったような顔で頭を掻いた。


『正直、マネージャーとか興味ないし。
 そもそも、バスケはもういいって感じなんスよ』

「「 どうしてっ?! 」」


天の言葉にまたしても、部員たちは驚きを隠せない。過去に何があったかは分からなかったが、天の決断を“宝の持ち腐れ”と思わずにはいられなかった。


しかし、そんな外野と打って変わって当の本人は、誠凛に入学するよりずっと前から、長い年月を経て自分の一部と化したそれを捨てても構わないという覚悟は既についていた。


天のそんな気も知らず、小金井が再び切り出した。


「ポテチちゃん!どこか悪いの?!」

『え?』

「バスケで怪我したの?!
 それともバスケ以外で??
 痛かった?もう治った?!」

『は??』


そう天に捲し立てた小金井の頭には、昨日の部活動勧誘の際、二年生の間で話題に上がった“藤堂 天の故障説”が頭をよぎっていた。
天からしてみれば的外れな見解だったが、今この先輩は自分に心配を向けているのだと悟り、慌てて訂正した。


『あの…ちょ、ちょっと待ってください!
 続けられないのは、別に怪我とかじゃなくて…』

「そうなの?!よかったぁ〜!!」


選手生命を絶たれたわけではいと本人が明言したことで、小金井は安心したように安堵の溜め息を溢す。それは、その可能性も視野にあった他の二年生も例外ではなかった。


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