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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第13章 英雄ぶるのも大概に


●天 side● 〜体育館〜


そう言うと天は満足そうな表情で、完成してまだ2年も経てない真新しい体育館を見上げて続けた。


『最終的に誠凛(ここ)選んだの、
 “新校舎”ってのが決め手だったので』

「「 はぁ〜??! 」」


理解出来ないと言わんばかりの先輩たちの驚愕の声に、天は淡々と「ん?なんか変スか??」と尋ねる。


『そりゃ古い校舎よりか
 新しい方が良いじゃないっスか』

「それはそうなんだろうけど…」


一方で二年生たちは、己の進学先を“古い”か“新しい”かが決め手だったと言う、目の前の少女を見て愕然とした。
天に“執着”と言って良いほどのこだわりがあるということに気を取られ、女バスのない環境を選んだということがすっかり頭から消えていた。


それほど、天の進学理由が異常だったのだ。学舎に理想はあれど、推薦を選ばないと言うことが信じられなかった。よりによって、全国経験者である天だったばかりに。


「強豪のレギュラーだったんでしょ?!」


そんなリコの、何気なく口をついた言葉で。


『先輩…いや、監督さん』


ほんの少しではあるものの、天の目つきが変わったのが分かった。


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