• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第12章 ミニゲーム


●天 side● 〜体育館〜


二年によってチーム内の連携と共に戦意も崩された一年たちの姿に、天は同情すら抱いた。


「やっぱり強い…」

「ていうか、勝てるわけなかったし…」

「もういいよ…」


弱腰になる気持ちが理解できないこともない。実戦で実力の差を突きつけられたのだ。嬉々として部活動に励もうとしている新入部員たちを、戦意喪失させるのには十分すぎる。


それに加え、今の一年たちの雰囲気は最悪と言ってもいい。最大の要因は、途中からダブルチーム以上でディフェンスされていた火神だ。
追加点を得るどころか、途中からボールをまともに持てなかった状況に、イライラしてることは離れていても分かった。


「“もういい”って…!何だそれオイ!!」


メンバーの胸倉を掴んでまで当たり散らかすその姿に、天は「今どき?」と哀れんだ。早々に諦めるのは癪な様だが、頭に血が上るのは早いらしい。


『ったく、見てらんねぇな…』


言い争うのはご勝手にという感じだが、火神のあまりの無神経さに「やめろよ、ビブスが伸びんだろ」とだけ言ってやりたい気分にはなった。


「落ち着いてください」


天が再びコートに視線を向けると、既に黒子が仲裁に入っているところだった。興奮している相手に対して、“膝カックン”が仲裁になるかは不明だが。


/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp