第12章 ミニゲーム
●天 side● 〜体育館〜
二年によってチーム内の連携と共に戦意も崩された一年たちの姿に、天は同情すら抱いた。
「やっぱり強い…」
「ていうか、勝てるわけなかったし…」
「もういいよ…」
弱腰になる気持ちが理解できないこともない。実戦で実力の差を突きつけられたのだ。嬉々として部活動に励もうとしている新入部員たちを、戦意喪失させるのには十分すぎる。
それに加え、今の一年たちの雰囲気は最悪と言ってもいい。最大の要因は、途中からダブルチーム以上でディフェンスされていた火神だ。
追加点を得るどころか、途中からボールをまともに持てなかった状況に、イライラしてることは離れていても分かった。
「“もういい”って…!何だそれオイ!!」
メンバーの胸倉を掴んでまで当たり散らかすその姿に、天は「今どき?」と哀れんだ。早々に諦めるのは癪な様だが、頭に血が上るのは早いらしい。
『ったく、見てらんねぇな…』
言い争うのはご勝手にという感じだが、火神のあまりの無神経さに「やめろよ、ビブスが伸びんだろ」とだけ言ってやりたい気分にはなった。
「落ち着いてください」
天が再びコートに視線を向けると、既に黒子が仲裁に入っているところだった。興奮している相手に対して、“膝カックン”が仲裁になるかは不明だが。