第12章 ミニゲーム
●天 side● 〜体育館〜
ジャンプボール争いの結果、ボールの権利は一年が死守した。ニ年はなんとか止めようと試みるが、ボールはそのディフェンスの壁を越え火神へと繋がれた。
開始間もないが、天は火神のプレイスタイルを目の当たりにすることとなる。
火神はそのまま相手ゴールに、ボールをダンクで叩き込み先制点を獲得した。その勢いで、ニ年の選手がゴール下でバランスを崩し転倒。
それを見た天は、声を上げたくなるのを直前でなんとか堪えた。口から出かけた言葉が、喉で押し潰され奥へと沈んでいくのを感じる。
火神の動きにはビビる素振りはおろか、恐れが少しも感じられなかったのだ。今のプレイは、ファウル判定が下ってもおかしくないことは、天の目から見ても明らかだった。
火神がどんな選手なのか、理解するのにはそれだけで十分だった。見た目以上に乱暴で、かなり無謀なプレイヤーだ。それを理解した天は、可能なら「危なっかしいプレイするな」と叫んでやりたかった。
天と同様この空間にいる全員が、火神の圧力に圧倒するのに時間はかからなかった。