第12章 ミニゲーム
●天 side● 〜体育館〜
一年生たちと対になるよう、ブルーのビブスを着けてコートに立つグループ。即ち、二年の先輩たちへと目を走らせたときだった。
『ニ年生、5人だけ?』
気づけば疑問が口をつき、同時に天は体育館内をグルッと見回した。しかし、他に上級生らしい人影は見当たらない。メンバーから溢れて試合を見守る一年生たちがいるだけだ。
初めこそ、「そんな事あるわけがない」と思った。試合に5人で挑むなんて無謀だ、と。しかしそのうち、単に二年生に控えの選手がいないだけだと察した。
決勝リーグまで勝ち進んだチームが、まさか控え選手なしのギリギリの人数で成り立っているとは、さすがに想定していなかったし、事実を知ってもなお信じ難いことだ。
だからこそ天の脳は、納得のいく理由を求めて記憶の中を探り、昼間見た情景を呼び起こしていた。そしてふと思い出した。
図書室前に掲示されていた学校新聞。「あの中には、確かもう1人…」と。
しかし、その事実を明らかにする手段は天には無かった。沈黙の推論はホイッスルによって遮られ、空を切る音に釣られて天は視線を上げる。同時にバスケットボールが宙に投げ上げられた。
中立状態から一転、一年対二年の試合が始まった。