第12章 ミニゲーム
●no side● 〜体育館〜
こうして、いつもより忙しなく始まったバスケ部の練習。肌寒さすら感じさせる夜雨の音をBGMに、部員たちのバッシュの音が体育館に響いている。
天はその隅っこで、ひとりポツンとその光景を眺めている。今度こそ、部員たちの練習の邪魔にならないように。
その一方、
「ロード削った分、練習時間余るな…」
降り止むどころか雨足を強める春宵を見上げながら、日向はリコと深刻そうに話している。
「どーする?カントク」
日向の言葉に、リコは何か考えるような素振りを見せる。しかし、すぐさま「ちょーどいいかもね」と呟きながら不敵な笑みを浮かべる。
この時、天は何も知らなかった。
「ねぇ〜ちょっとそこの一年ボーイズ?」
自分に痛い思いをさせた“元凶”たちが、実は入学したての一年生であったことを。唐突にリコの頭に浮かんだ策略によって、許したはずの同輩たちがどんな扱いを受けることになったのかを。
「折角だから、あなたたちにするわ!
覚悟は良い〜??」
リコの無慈悲な人員選抜によって、
「「 ひぃっ?! 」」
本来、人畜無害で非力な新入生が。悲劇にもニ年生と戦う羽目になったということを、天は知る由もなかった。