第12章 ミニゲーム
●天 side● 〜体育館〜
「戻ったわよ〜」
リコのその声と同時に、天は再び体育館へと足を踏み入れた。その瞬間、それまで練習に励んでいた部員たちの視線が、一気に体育館の入り口へと集まる。
「おぉ!大丈夫だったか!」
天の周囲に、わらわらと人が集まってくる。安心したような顔。その中に交じる、憂いを帯びた目が天に向けられる。
・・
『すんません…こんななりで…』
天は若干鼻声でそう言って、恥ずかしそうに視線を地面に落とす。喋りづらそうに口にした天は、鼻に絆創膏を貼った姿で、確かに人に見せられるような姿ではない。
意図せず多くの視線を向けられてる今の状況に、天が困惑している時だった。
「ポテチちゃん!!」
『うわっ?!』
ポテチちゃん(天)を呼ぶ声と同時に、天の視界が占領された。突如、天の視界に割り込んで来たのは小金井だった。
天を真っ直ぐに見つめるその目は、なぜか涙でいっぱいになっている。天は両の手を取られ、力強くギュッ!っと握られた。
「良かった!
一時はどうなるかと思った!!」
『は…はぁ…』
泣きじゃくり、濁点まじりになった小金井の声は聞き取りづらい。急な出来事に天は呆気に取られたが、動揺しつつも小金井を諌める。
その時。
「藤堂さん」
『うぉお?!!』