第12章 ミニゲーム
●天 side● 〜バスケ部の更衣室〜
このまま帰ることだって出来る。なんならすぐにでも帰って休みたい。それに加えて、見ないふりをしていた空腹感が先ほどよりも強くなっている。
理由なんていくらでもある。頭を打っているのだから、これ以上納得できる理由なんてないだろう。
しかし、天にその選択肢はなかった。
なぜなら…
「ボクのバスケを、見てもらえませんか?」
黒子との約束は、果たさなければならない。絶対に。
それに、その約束が無くとも、帰れないことは決まっていた。目覚めた時から気づいていた。頭を打っても、打たなくても。帰れそうもなかった。
『私も、一緒に行きます』
天を足止めするかのように。外はまだ、雨が降っていた。