第12章 ミニゲーム
●天 side● 〜バスケ部の更衣室〜
『監督?!!』
マネージャー…だと思っていた女子生徒に、「自分が監督だ」と告げられ、天は驚きで声を上げる。そして自分自身の声の迫力で、既にダメージを受けていた頭部にジンッ!とした痛みが走った。
『ゔゔっ…痛っ…』
「あぁ!安静にしてなきゃダメよ!!」
急な痛みに襲われ、思わず頭を抱える天の姿を見た女子生徒…相田 リコは慌ててグッと近づく。
「ついでに…もう一ついい??」
『え"ぇ?』
苦痛に顔を歪める中、天は口数は少ないながらもリコの声に耳を傾ける。リコは「そろそろ部活に戻らないといけないんだけど…」と語り、最後に天にこう訊ねた。
「どうする?」
その言葉に、天は再度「え?」と聞き返す。
「このままここで休んでる?」
一度で質問の意図を汲み取れなかった天のため、リコはより具体的に問いただした。
一方で天は、唐突なその問いかけに対する解を必死に頭で探していた。先ほどまで気を失っていた人間とは思えないほどのスピードで。
まず大前提として、ここはバスケ部の更衣室だ。出来ることなら休みたいが、長居すべきでないことは今の天にも分かる。誰かと一緒ならまだしも、部外者である自分がここに一人で留まるのはお門違いな気がした。リコもおそらく、その上で聞いてきたのだろうということを、天は汲み取っていた。
だから天は静かに、
『いえ、もう大丈夫です』
とだけ口にして、ベンチに乗せていた足を床に下ろした。