第11章 バスケットボールと花時雨
●no side● 〜体育館〜
「ヤバい!もろに食らってたぞ!!」
「ポテチちゃん?!ポテチちゃん?!!」
リコは倒れ込んだ天のそばにしゃがんで、その顔に向かって何度も呼びかけた。
ところが、天は答えるどころかピクリとも反応しない。
他の部員たちも、リコに続いて天の顔を覗き込む。
そして…
「うわっ!!血ぃ出てんじゃん?!!」
天の鼻から、赤い鮮血が流れ出ているのに気づくのに、そう時間はかからなかった。
リコは冷静に「早く救急箱!!」と、近くにいる部員に呼びかける。
その部員は、救急箱のために即座に走り出した。
その傍ら、
「おい誰だ!いまボール投げたやつ!!」
「すんませーん!!」
ある部員は、こんな事態を引き起こした新入部員に対して叱責した。
黒子も他の部員の間を縫って、気絶した状態で鼻血を出している天のそばにしゃがみ込む。
「藤堂さん。大丈夫ですか?」
「ポテ…藤堂さん!聞こえる?!」
黒子とリコが呼びかける中、先ほど駆け出していった部員が救急箱を手に戻ってきた。
その姿に真っ先に気づいた小金井の、
「水戸部!水戸部早く!
血ぃ!ポテチちゃんの血ぃ止めて〜〜〜!!」
興奮気味に叫ぶ声が、体育館にこだました。