第11章 バスケットボールと花時雨
●no side● 〜体育館〜
「危ない!!」
突如として、体育館に声が響いた。
それはリコの声を掻き消し、代わりにこの場にいる全員に警告を促した。
声に釣られて、天を含む全員がハッ!として声のする方へと瞬時に視線を向ける。
人によっては、気づく前に全てが終わりに向かっていた…
しかしその一方で、気づかずにはいられない人物も、また存在した。
特に天は…
流れ弾のバスケットボールが、豪速球で目の前に迫ってきている人物からしたら、気づかずにはいられなかった。
しかし、
『ぴぎゃ?!!』
天が何かをする前に、バスケットボールは天の顔を強打し、バコンッ!と言う音を立てて跳ね返った。
バスケットボールが体育館の天井に向かって高く跳び上がるのに対して、天の体は体育館の床に向かって倒れ始める。
コンマ数秒もしないうちに、天は背中から倒れ込み、衝突と同時にドカンッ!と音を立てた。
そしてその後を追うように、それまで空中に放り出されていたバスケットボールが、床に落ちてドンドンドン…と天の足元で数回バウンドした。
「「 わぁあぁあぁあぁーーー?!?! 」」
ほんの一瞬の出来事に、その場の全員が驚きで声を上げる。
そして、体育館の床に横たわる天に向かって駆け寄りはじめた。