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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第11章 バスケットボールと花時雨


●天 side● 〜体育館〜


嬉しそうに「本当に来てくれたのね?!」と言いながら、女子生徒は天と距離を詰める。
その時になって天は、この女子生徒もバスケ部の一人なのだということ理解した。


「良かった〜来てくれて!」

『はぁ…』


この短時間の間に、もう何回“ポテチちゃん”と呼ばれたか分からなかった。
二度と登校中にポテチは食べないことを決意する傍ら、天はいま一番に取るべき行動をとった。


『すみません、部外者が急に』


天はそこまで言うと、「それで…」と言いながら女子生徒の背後に目を向けた。
その先に居るであろう人物を探しながら、天はこう尋ねた。


『監督さんはどこですか?』


天は先ほど、バスケ部員が監督に対して呼びかけたのを耳にしていた。
近くに男子バスケ部の監督がいることは間違いなかった。


「挨拶しなくては」と監督の姿を探す天の前で、女子生徒は豆鉄砲を食らったかのように「え?」と戸惑いの表情を浮かべていた。


『いま、監督って…』

「あぁ〜!!」


天が再び尋ねると、女子生徒はいま気づいたとでも言わんばかりに「そうよね!」と声を上げた。


そして、女子生徒は改めて天に対して向き直り、真っ直ぐに天の瞳を見つめた。
女子生徒の纏う雰囲気が、瞬時に変わったことを察知した天は、それまで泳がせていた視線を女子生徒へと向けた。


天の視線が自分に注がれたことを確認した女子生徒は、「はじめまして」と再び口を開いた。


「私は相田 リコ。男子バスケ部のカント」


その時だった。


「危ない!!」


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