第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●黒子 テツヤ● 〜校庭〜
驚くボクを傍に、ついさっきまで歳上だと思っていた女の子と、本当に一個上の先輩が会話に花を咲かせる。
ボクの前を行く背中から感じた、“先輩の余裕”のようなものは、上級生であることの“慣れ”などではなく、女の子の性格から来ていたのだと気づいた。
同級生だったことに驚いたのは勿論だけど。
この時、純粋に嬉しいという感情を抱いたのも確かだ。
どうしてそう思ったのかは、すぐに分かった。
「またすぐに話せますよね」。
安堵に近い気持ちに包まれながらそう思って、ボクは同い年の女の子と先輩が話す輪を抜けた。
もっとも、女の子にも。
女の子の真後ろに立っているボクが視界に入っていたであろう先輩でさえも、気付いていないようだったけれど。
でも、仕方がないですよね。
主役の前では、
脇役の影は濃くなるだけだから。