第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●黒子 テツヤ● 〜校庭〜
その切長の目も。
黒い瞳も。
ボクは知らない。
遠目から見たら黒一色だった頭髪も。
実は稀に紫が混じっていて、その黒をより一層艶めかせていることも。
近くに来て、初めて知った。
女の子にとってのピンチが、皮肉にもボクにとってのチャンスに変わり。
こうして近づいて顔を見ることができた。
のだけれど…
女の子の方は、ボクに気づいていない。
手の中の袋を見つめて、表情をコロコロと変えている。
きっと、地面に落ちるはずだったポテトチップスの袋が、自分の手の中に戻ってきた理由が分からないのだろう。
どのみち、驚かせることになってしまいました。
声をかけても、かけなくても。
同じ結果が待っているのであれば。
このまま、話しかけても良
?「あぁ~ごめんね!大丈夫~?!」
?「えっ?」
横から聞こえてきた声に、思わずボクも女の子と一緒に顔を上げた。
女の子を挟んでボクが立つ位置の反対側には、楽器を持った女生徒が立っていた。
見るからに吹奏楽部員というその装いから、声をかけてきたのもこの人だとすぐに分かった。
?「ほんとごめんね~?
急に声かけてビックリしたでしょ?」
?「いえ、大丈夫ですよ…」
ボクも忘れてました。
声をかけられたから、袋を落としたんでしたね。
吹奏楽部員さんは、一個上の先輩…のはずですよね?
じゃあ、声をかけてきた理由は…
?「キミ!新入生でしょ?!
見覚えのない可愛い子がいるな〜と思って
思わず声かけちゃったよ!」
?「えぇ…新入生ではありま」
?「よかった〜!だったらさ!」
ここにきてやっと、女の子が先輩ではなく。
同級生であることを知った。