• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第11章 バスケットボールと花時雨


●天 side● 〜体育館〜


「また会えて嬉しいよ!!オレのこと覚えてる?!」

『あ…はい、昨日声をかけてくれ』

「え?!覚えててくれたの?!」

『まぁ…昨日のことな』

「スッゲェー嬉しい!!マジ感激!!」

『あ…はぁ…』

「オレ、小金井 慎二!
 仲良くしてくれたらもっと嬉しい!!」

『え…えぇ??』


バスケ部員…小金井と名乗ったその先輩は、天に会えた喜びを全力で体現した。
そんな小金井に気押された天は、意味も分からずただ困惑を抱くだけだった。


「聞きたいことが沢山あるんだよ!
 初めて会った時は可愛いから声かけたんだけど
 今はそれ以外にも興味あるし」

『いや…そんな急に』

「もちろん答えたい事だけでいいから!
 オレはポテチちゃんのことで
 知りたくないことなんて一つも無いけどさ!」

『そう言うことではなく…』


結局、小金井にペースを奪われた会話とは言えない会話で、天は終始流されてしまった。
なんとか口にした「てか立ちたい…です」という言葉で、小金井はやっと「あ、ごめんごめん」と言ったのを最後に、一旦口を閉じた。


小金井の手を借りて立ち上がった天は、その流れで体育館の中へと引きずり込まれた。
直前まで、体育館に入れずオタオタしていたのが嘘のように、天の体は体育館の明るい照明の下に晒された。


/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp