第11章 バスケットボールと花時雨
●天 side● 〜体育館〜
「また会えて嬉しいよ!!オレのこと覚えてる?!」
『あ…はい、昨日声をかけてくれ』
「え?!覚えててくれたの?!」
『まぁ…昨日のことな』
「スッゲェー嬉しい!!マジ感激!!」
『あ…はぁ…』
「オレ、小金井 慎二!
仲良くしてくれたらもっと嬉しい!!」
『え…えぇ??』
バスケ部員…小金井と名乗ったその先輩は、天に会えた喜びを全力で体現した。
そんな小金井に気押された天は、意味も分からずただ困惑を抱くだけだった。
「聞きたいことが沢山あるんだよ!
初めて会った時は可愛いから声かけたんだけど
今はそれ以外にも興味あるし」
『いや…そんな急に』
「もちろん答えたい事だけでいいから!
オレはポテチちゃんのことで
知りたくないことなんて一つも無いけどさ!」
『そう言うことではなく…』
結局、小金井にペースを奪われた会話とは言えない会話で、天は終始流されてしまった。
なんとか口にした「てか立ちたい…です」という言葉で、小金井はやっと「あ、ごめんごめん」と言ったのを最後に、一旦口を閉じた。
小金井の手を借りて立ち上がった天は、その流れで体育館の中へと引きずり込まれた。
直前まで、体育館に入れずオタオタしていたのが嘘のように、天の体は体育館の明るい照明の下に晒された。