第11章 バスケットボールと花時雨
●天 side● 〜体育館〜
「お〜いみんな〜!
ポテチちゃん来てくれたぞーーー!!」
小金井がスピーカーになったせいで、天はたちまち注目を集めた。
バスケ部員に取り囲まれ、天の前に壁が出来上がるのに時間はかからなかった。
「よく来てくれたねポテチちゃん!」
『え…はぁ…』
「昼は…なんかすまんかったポテチちゃん」
『いや…それは別に』
「はじめましてポテチちゃん。
ようこそバスケ部へ」
『あ、どうもはじめまして…』
上から注がれる複数の視線と、初めて見る顔、顔、顔…
そして、訂正する間もなく変わり続ける状況と、天の頭に入ってくる“ポテチちゃん”という言葉が放つ異物感。
それに耐えられなくなった天は、ついに「あの!」と大きな声でバスケ部員たちの話を遮った。
「私にも話させろ」と言わんばかりの天の声は、その場に束の間の静けさを作り上げた。
『何なのか分かんないんすけど、
私の名前、藤ど』
自分の名前を告げようとする傍ら、バスケ部員に囲まれた今の状況から離脱しようと、天は後ろ向きに後退した。
またしても、反対側をよく確認しないまま…