第11章 バスケットボールと花時雨
●天 side● 〜渡り廊下〜
黒子が去った後も、天はしばらくその場から動けずにいた。
一瞬のうちに、色々なことがありすぎたせいだ。
考えがまとまる前に、別の問題が天の頭の中を支配する。
自分でもどうすることもできず、糸屑が絡まったように答えに辿り着けない。
結果的に、元プレイヤーであることを隠し続けることはできなかった。
黒子の気遣いにより、想定してた最悪の事態を未然に防げたのは、不幸中の幸いとしか言いようがない。
しかし天にはまだ、黒子に打ち明けていない秘密がある…
天は黒子を知っている。
黒子が天を知るよりも、ずーっと前から。
「私も君に黙ってたことがある」と、伝えられる時は来るのだろうか?
天には、そんな瞬間は一生来ないように思えた。
天が躊躇するのには理由があった。
黒子に打ち明けるのを、躊躇する理由が…
天にはもう一つ、秘密がある。