第10章 チャイムの鳴る前に
●リコ side● 〜図書室前〜
「今のがぁ?!!」
リコと伊月、黒子が経緯と真実を全て打ち明けた後。
日向の第一声が、それだった。
「今…え?俺が…え??」
そう言って藤堂 天が去っていった方と、リコの顔を交互に見る。
さっき自分に何が起こって、自分が何をしでかしたのか、理解が追いついていない様子だった。
「そこにいたのが?!今話したのが?!!」
「「 声がデカい!! 」」
そこから日向を落ち着かせるのに、しばらく時間がかかった。
その間に、小金井は何度も「ポテチちゃんに会いに行く!」と言って聞かなかったが、その度に伊月に止められていた。
「まったくもう!
あんたたちのせいで、全部台無しよ!!」
「え?!なんでオレら?!」
藤堂 天と話す機会を逃した。
事故とは言え、リコと伊月にとってこれほどの損失はなかった。
「そもそも!こんな大事なこと
黙ってる方が悪ぃーんだろ!」
「日向(お前)のさっきの取り乱し方を見れば
教えなくて正解だった、とすら思うけどな?」
伊月にそう諭され、日向は何も言い返せなかった。
「だから、俺とカントク2人で
まずは事実だけでも確認しようとしてたんだ」
「それが済んだら、話そうとしてたのに…」
「それをお前らに邪魔されたんだよ!」
リコと伊月にここまで言われて、3人はようやく気がついた。
「下手に首を突っ込んだのが間違いだった」と…