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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第10章 チャイムの鳴る前に


●黒子 side● 〜図書室前〜


藤堂のことが気がかりだった。
だか黒子には、もうひとつ気にかけなければならない存在が出来てしまった。


「もう…今度はどうしたら良いのよ…」

「また別の方法を考えよう」


そう言って肩を落とすリコと伊月、先輩たちを見て、黒子ももう一度考えてみた。


とは言っても、「これからどうするか」ではない。
「どうしてこんなことになってしまったのか」だ。


「次また頑張れば良いや」では、ダメだと思った。
未来を見据えるには、まず先に“原因”を突き止めなければならない。
例えば、今回のようなことが起こってしまった時には。


“上手くいかなかった時”。
“しくじった時”。
“思い通りにならなかった時”、真っ先に何を考える?


恐らく過去の自分の行動や選択を思い出し、そして恨むはずだ。


「ああしていれば良かった」、「こうしていれば良かった」と。
今の自分がいるのは、過去の自分の判断ミスである事を悔やむのだ。


黒子にも、そればかりを考えていた時期があった。


だが、本当にそれが全てだろうか?


世間と言うものは、それほど単純には出来ていない。
個人のたった一つの選択の違いや、行動の幅だけで、成立する結果などありはしないのだ。


今回の出来事が、まさにそうだったではないか。


周囲の環境、関わった人間、そしてタイミング…


「タイミング…」


そこまで考えた時、黒子はハッとした。


そして、頭を抱えている先輩たちに、再び声をかけた。
存在を忘れられていたようで、またしても驚かれてしまったが。


「ボクからひとつ、提案があるんですが」


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