第10章 チャイムの鳴る前に
●黒子 side● 〜図書室前〜
一方で、
「なんだよ黒子、俺に話って」
藤堂が立ち去った後、黒子は改めて日向に問いただされていた。
「いえ、正しくはキャプテンにではなく」
そう言いながら黒子は、日向の背後の廊下を覗き込んだ。
「カントクと伊月先輩に…ですが」
覗き込んだ先には、確かにリコと伊月がいた。
2人だけではなかったが。
いつの間にやって来たのか、そこにはバスケ部の先輩である、小金井と水戸部もいたのだ。
そしてなぜか、伊月は小金井のことを羽交締めにして、口元を押さえている。
全く状況が飲み込めぬまま、黒子は呆然としている。
その居た堪れなさに気まずくなったのが、リコと伊月は「あはは…」と申し訳なさそうに苦笑いしていた。