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宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第10章 チャイムの鳴る前に


●リコ side● 〜図書室前〜


伊月は、これ以上小金井が勝手に動き回らないよう、後ろから押さえ込んで自由を奪った。


「え、ちょ、なんで?!!」

「静かにしろって…!!」


伊月は小金井が声を上げないよう、手のひらで口を覆った。
小金井はそれでも抵抗しようともがいたが、必死の伊月を振り解くことは出来ず、塞がれた口の奥からは「んー!んー!!」という籠った声しか出てこなかった。


それを見た水戸部が、心配そうな面持ちで仲裁に入ろうとした。
しかし、リコが通せんぼするように立ちはだかってそれを止めた。


今のリコと伊月には、それが出来る精一杯のことだった。
あと出来ることは、「黒子くん、今こっちに来ちゃダメ…!!」と、届くかも分からない念を送り、祈るだけだった。


リコが「だめだめ!」というかのように、首を横に振るのを見て日向は確信した。


「やっぱなんか隠してんだな?」


この先の廊下に、自分には見せられない…
もしくは、見せたくない何かがあるということを。


理由は分からないが、2人が隠そうとしているのであればやることは一つだった。
「やるな」と言われればやりたくなるし、「見るな」と言われたら見るのが鉄則だ。


リコと伊月が、他2人を止めるのに夢中になってる隙に、日向は廊下の先へと歩き始めた。


それを見たリコと伊月は息を呑んだ。
伊月が「待て日向!」と止めるのも構わず、日向は廊下の先にへと飛び出していった。


そして…


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