第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●黒子 テツヤ● 〜校門〜
校門前に着くと、そこからは賑わっている校庭がよく見えた。
桜の花が舞う中、活き活きと笑う生徒たちを見ていると、なんだか”青春”の2文字が浮かんでくるようです。
部活動勧誘ですか。
人が多いですね…通り抜けるのが大変そうです。
さて、ボクも行きますか。
そう思って、足をあげたのとほぼ同時。
風が吹いた。
先ほどボクの手の中の小説を撫でた春風とは、また違う風が。
頬を掠めた。
温かい春風に乗って、ボクのもとへ舞い降りた香り。
「…っ?」
衝動的に、足が止まる。
いまなんだか…懐かしい香りが。
甘いようで…でも香ばしい…
思い出の香りが鼻腔をくすぐると、何故かすごく心地いい。
ボクの記憶を撫でたそれを知りたくて、大きく鼻から息を吸い込む。
その。
いつも近くにいた、だれかの匂いが。
これは…
ポテトチップス?