第4章 この道、桜吹雪につき。注意。
●藤堂 天● 〜学校〜
校舎までの道のりは、人で溢れていた。
頭蓋骨に響くポテチの音とイヤホンから流れ出る音を越えて、私の耳に情報が流れ込んできた。
「ラグビーに興味ない?」
「日本人なら野球でしょ!」
「水泳 チョー キモチイイよ!」
「テニス部 初心者大歓迎!」
うまく聞き取れないけど、大体こんな感じ。
この集まりは…部活勧誘か。
ということは、その“人”の大部分は先輩なんだろう。
先輩同輩の区別がつかないその流れを搔い潜りつつ、ポテチを摘み上げてはしょっぱくなった指先を舐める。
これ見よがしに主張してくる爪に邪魔されながら。
無関係ぶってるけど、私も一応新入生だから、必然的に“勧誘される側”になってしまう。
だからこそ、無関係顔が必須なんだ。
“勧誘される側”とは理解しつつも、正直あまり乗り気にはなれない。
特にやりたいこともない。
新しいことを始める気分でもない。
だから「私に話しかけても無駄ですよ~」って顔をして歩いた。
勧誘を断るのも、それはそれで心が痛むから。
それに。
今は純粋にポテチのことで頭がいっぱ
?「ねぇ、そこのあなた!ちょっといい?!」
『うおぉ!!』