第9章 restart and redo.
●no side● 〜体育館裏〜
暗闇に溶け込んで、よく見えなかった目の前の人物の顔が、昼間でもないのに今はよく見える。
突然のことに、3人はその謎の光がやって来た方に視線を向ける。
ところが、光のあまりの強さに、思わず瞼を瞑り両腕で顔面を守り始める。
黒子だけがワンテンポ遅れてしまい、謎の光がその淡い水色の瞳を貫き、瞼の裏に光の筋を残像のように浮かび上がらせた。
そして、
?「ちょっとちょっと君たち!」
謎の光に遅れて、今度は謎の声が3人を襲った。
どうやら、謎の光の光源から聞こえてきたようであった。
3人はその声に釣られて、構えた腕の隙間から細めた目で盗み見る。
すると、
?「こんなところで何してんの?!」
光源のやや後ろに、黒い影が見えた。
そして徐々に、その影が人の形をしていることが何となく分かってくる。
黒子たち3人に向かって、歩みを進めているということも…
最初こそあった警戒心だが、この時には既にゼロに近かった。
それは、今置かれている状況を考え直せば分かることだ。
ここは体育館(裏)で、今は部活終了後だ。
それは生徒の下校時刻が迫っていることを意味している。
校内、そして敷地内に、生徒が残っていてはいけない。
そうなってくると、その確認にやってくる人たちがいるわけだ。
それは…
「け…警備員…さん??」