• テキストサイズ

宵闇の明けと想ふは君だけと〈I•H編〉

第9章 restart and redo.


●no side● 〜体育館裏〜


言ってしまえば、どちらが本物でどちらが偽物か、など。
黒子にはどうでもよかった。


黒子の知らなかった藤堂の過去。
バスケの実力者だった過去を、「偽物」と否定することは黒子には出来ない。


しかし、黒子が藤堂と過ごした時間もまた、偽物ではない。


そして、黒子の鼻を掠めた、あの優しい香り…


あれは現実だった。
偽りなどでは決してない。


黒子にとっては、それが全てで。
「揺るぎない本物」と断言できる、藤堂の本来の姿だったのだ。


だからこそ、


「勧誘の方はたぶんダメだと思います…が。」


「見てみたい」と、思ってしまったのだ。
リコと伊月が行こうとしている未来とは、ちょっと違う未来かもしれないけれど。


強豪校の元レギュラーだったから、ではなく。
先輩に頼まれたから仕方なく、ではなく。


黒子はただ、一人の人間として藤堂と向き合うために、知りたいと願った。


だからこそ、自らの口で聞かなければならないのだ。


「それでも、いいですか?」




        あなたはなぜ
   バスケを辞めてしまったんですか?




/ 417ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp